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只今Drrr中心。よろず倉庫です。たまに鬱。 現実逃避ばかり。常に\(^0^)/
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帝人:絵描き な設定で幽帝。
お互いに初対面なパラレル。
それでもよろしければ、どうぞ


毎日毎日、見掛ける人がいる。

愛車で家に向かうときに何気無く外を見たのがきっかけだ。
イーゼルを置いて少年がなにやら悩んでいるようにキャンパスに向かっている。

少し、珍しいと思った。

次の日も同じところでやはり少年はキャンパスに向かって悩んでいた。

雨が降っている日は流石に居ないと思ったら傘を差して少年は立っていた。

毎日毎日同じところに居る。

気になった俺は休日に近くに寄ってみようと思った。

あんな少年が何故キャンパスに毎日向かうのか気になってしょうがない。

人通りが多くは無い所だし騒がれる事は無いだろうと思いつつ帽子とサングラス、あと前髪を少し変えて俺は彼の所へ歩き出した。

少年は今日も居た。
快晴の下でキャンパスと睨めっこ。

キャンパスは少し黒ずんで描いては消してを繰り返してるんだろうなと思った。

「こんにちは」

声を掛けても彼はうんうん唸っている。
彼の正面に回って目の前に立つと少年は顔を上げた。

「わっ、」
「こんにちは」
「え、あ、こんにちは」

顔を上げた少年は中学生のような顔だった。
大きな瞳は困惑の色をしている。
知らない人に話しかけられたら当たり前か…。

「いい天気ですね」
「あ、はい。そうですね、風も気持ちよくて……」
「何を描いてるんですか?」
単刀直入に聞いてみる。嫌だったら答えなくていいと言えば彼はワイシャツの袖を折りながら

「なかなか描けなくて悩んでいる所なんです」
と困ったように笑う。

「それで毎日ここに?」
「えっ?」
驚いたように自分を見る彼に自分も苦笑して(きっと顔に出てないだろうけど)毎日居るのを見て声を掛けたんですと告白すれば彼の顔は赤くなる。
「すみません」
と謝られ首を傾げれば
「あ、いえその……通行の邪魔でした?」
見当違いな事を言われる。
「いえ、車から見てました」
「は、あ、もしかして……フェラーリ……」
「多分、それです」
「ふふ、僕も毎日見てます」
くすくすと笑う彼の顔は本当に幼い。
「あの」
「はい?」
「私は幽と言います。」
「あ、僕は帝人と言います」
「帝人さん」
「はい」
「描きたいものがあるんですか?」

毎日毎日ここで悩むということは描きたいものがあるんだろうか。教えてもらったばかりの名前を口にする。
俺の方が年上だろうけど親しくないのにタメは失礼かと思い丁寧な言葉のまま。

「なにかを描かなくてはいけないんです。提出するものなので」
「………提出?」
「ええ、一応。新しい絵も置いとかないとと思いまして。」
あ、展示会用なんですけれど。
と付け足す彼の表情は何故か暗い。
「風景画ですか」
「いえ!何でもいいんですけどね……」
ここに来ちゃったんです。だから風景画にしようかなって…。
そう苦笑する彼にそういえばと閃いた。

「私を描いてみてはどうですか?」
「へ?」

サングラスと帽子を外し、サングラスは胸ポケットに掛けて前髪をいつも通りに直す。

「わ、」
「私は絵になるそうなので」

これは最近の仕事でやたら言われた一言だ。
幽平さん(芸名)はボロいTシャツもブランドものに見えますね。
とか言われたけどボロいTシャツはボロいTシャツだと思う。

ぽかんと口を開けたまま俺を見る彼。

「あの?」
「う、わ……あの、……かっこいい、ですね…」
「…ありがとうございます」
「描いてもいいんですか?」
「私なんかで良ければ」
「あ、の……じゃあ帽子を胸の前で……そう……あ、そのまま…なるべくすぐ描きますから」
そう言うなりサラサラと鉛筆がキャンパスの上を滑る。
チラチラと見たかと思えば自分をじっと見ながら滑る鉛筆を見て面白がる自分に気付く。
「……あの」
「はい」
「もしかしてモデルですか?」
「……えぇ、まぁ」
「道理で……」

足長い、とか、線対称な顔だなぁとか、まつげ長いとか、髪さらさらだなぁとか、帝人さんは呟く。

「あの……どうしてこんなに…良くしてくれるんですか?」
いつの間にか筆を動かしてる彼がやはり自分を見たまま問う。
「……そうですね………毎日毎日帝人さんがキャンパスの前で悩んでいるのを見てどうにかしてあげたいと思ったから…ですかね」

「ふふ、そんなんじゃあ幽さん身が持ちませんよ」
「いえ、どうにかしてあげたいと思ったのは貴方が初めてですからなんとも…」

ぴたりと筆が止まる。

「………」
「どうかしました?」
「いえ、…………何でも、ないです…」
ぺたりとまた筆が動く。
今どれくらい描けているのだろう。少し気になる。
「………あの」
「はい」
「帝人さん、よろしければアドレス交換してくれませんか?」
展示会に行けたら行きたいですし、連絡先が知りたいです。
と続ければほんのり赤く染まった頬で帝人さんは

「僕も同じ事考えてました。」

幽さんが、ご迷惑じゃなければ是非。
とはにかんだ。


それから彼の事をよく知って、帝人くんと呼ぶようになり、帝人くんと恋人になるのはまた別の話。

***********
美大とかそっち系の帝人。ちなみに青葉くんがやっぱり居るといいね。先輩!って(笑)
よそよそしい幽帝が書いてみたくて書いた話です(笑)
そしてやっぱり長い\(^o^)/


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