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只今Drrr中心。よろず倉庫です。たまに鬱。 現実逃避ばかり。常に\(^0^)/
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置いて行かれるような、感覚。

 

そんな事感じる必要はどこにもない。
だって現に彼らはボクの傍に居てくれるのだ。

けれど、何か見えない壁がボクと、彼らの間に割り込んできそうで。
いや、もう割り込んでいるのかもしれない。

 

「黒子っち~!見つけたッスよ!こんな所に居たんスか!」
体育館と、校舎を繋ぐ渡り廊下。
ボクはそこに座り込んでいた。
部活が終わって、誘われるように座った。

「黄瀬君」

てっきり、もう帰ったのかと。
驚いて黄瀬君を見上げると彼はにっこりと眩しく笑う。
「黒子っち!帰ろう?」
差し出された手を握る。

…ほら。彼はボクの傍に、居るじゃないか。

手を引かれたまま、校門へ向かえばキセキの世代と呼ばれる彼らが居た。
……待っていて、くれたんだろうか。
答えを求める気にはなれなかった。

「オレ、黒子っちを探すの得意になったッスよ!」
得意げに黄瀬君が笑う。
「……そう、ですか」
「?なんか黒子っち、元気ないッスね?」
どうしたの?と覗き込む瞳の美しい事。


「ボクが突然、居なくなったら見つけてくれますか?」


ばかげてる。
こんな質問、何の意味もない。
居なくなる予定もない。

それでも黄瀬君は真剣な表情でボクを見て。


「そりゃ、世界の裏側でも、見つけて見せるッスよ!」

それから、まっすぐな笑みを浮かべる。

「……そう、ですか」
思わず、つられてこっちまで頬が緩んでしまいそうだった。

「なんの話してんだよ」
「青峰君」
「ったく、帰るって時に…。お前どこ行ってたんだよ」
「すみません」
少し、一人になりたかったのかもしれません。
そう言えば青峰君はぱちり、瞬きをする。


ちょっとした好奇心が顔をだす。


「……青峰君は、ボクが居なくなったらどうします?」


「あ?」
「探して、くれますか?」
ため息が吐き出される。
あぁ、下らない質問なのは重々承知です。
冗談です、と笑えばいいのだろうか。
少し悩んでいれば

肩を抱かれた。

「ったりめーだろ、バカテツ」

今度はボクが瞬きをする番だった。
「ふふ、そうですか」
ちょっと意外です。
不思議な感じだ。青峰君がそう言ってくれるのは。
肩を抱かれたまま、他の三人にも聞いてみた。

「え?黒ちん居なくなっちゃうの?」
「例え話です」
「うーん、そっか。そうだなぁ……探しはするよ。」
寂しいもん。お菓子を掌から、ボクの掌へ移しつつ、巨体の彼はのんびりと言う。

「まず、はぐれないようにするのだよ」
その手で、掴んでいろ。
と神経質な彼はブリッジを上げながら、何やら意味深に言った。
「そうですね」
「お前は居なくなったら、誰よりも見つけにくいのだから」
袖でも、裾でも鞄でも、掴んでおけ。
そう付け足された言葉に胸が詰まる。

 

「逃げたら、の間違いじゃないの?」
赤髪を風に揺らしながら、彼はそういった。
「……赤司君には、そう見えますか?」
「ああ」
捕まえてほしいなら、いつだって捕まえてあげるよ。

「……逃げる、なんて」


何に。
湧き上がる孤独感は見ないふりをして。
肩にのしかかる体温に目を伏せた。

 


それから、ボクは結局彼らから逃げるように姿を消すことになった。

あの時、すでに彼には解っていたんだろうか。
なんでも、見通してしまうんだろうか。


屈託のない笑顔を向けられることもなく。
肩の体温も今はなく。
手の中にもお菓子はなく。
掴める袖も、裾もなく。


合わせる拳も無く。


ひとりぼっちになった。
自分から、ひとりぼっちになった。

 

寂しいのかもしれない。
ボクの中には、プールがあって。
その中の水が、流れるような。

空っぽになっていくような。

 


「こんなところに居たのか」


体育館と校舎を繋ぐ渡り廊下。
座り込んでいたら靴音が聞こえて。

鼓膜を刺激する声は、久しぶりの声だった。


「………あかしくん」

何か用ですか?
いいや、特には。
そうですか。

ほっといてください。
そう言うにはあまりも、あまりにもボクの心は渇いていた。


「ねえ、テツヤ」

彼は、ボクの事をそうは呼ばない。
……から少し驚いた。
まさかボクに触れてくるなんて。


「寂しいか?」
「……………」
「檻の中から、皆出て行ってしまった」
彼の言葉はたまに詩的だ。嫌いではないけれど。

「お前も、ついに壊された檻の中から出て行ってしまった」
「………」
「寂しいか?」
さっきと変わらないトーンで彼は言う。
全部わかってるような目で、ボクを見る。

全部、わかってるんでしょう?
全部キミはもう、解ってるんでしょう?
そう言ってしまいたいけれど、残念ながら彼はボクからの言葉を求めている。

 

「寂しくないです」


ボクの中に少ししか入っていない水が、瞳から零れた。
「寂しくなんかないです」
ぽろぽろと流れる滴が、これ以上出ないように袖で押さえつける。

「うそつきだね」

「ウソなんかついてません」
ぐいぐい、目を押さえればじわじわとブレザーにシミができるのが解る。
こういう時に限って、彼は甘い声をするのだ。

こういう時に限って。
彼はボクが、今一番なにが欲しいのか分かってくれるのだ。

背中に回るぬくもりにボクはしがみついた。

 

「テツヤ、僕はお前がどこに居ようが、逃げようが。見つけてあげるよ」

現に今、お前を見つけたしね。

じわじわと、じわじわと体が熱くなる。
「だから、何ですか」
だから、何だっていうんですか。

もう同じ檻に居た時とは違うんです。

「お前が扉を開けたら、その時は……」


耳に直接落とされた言葉にボクの心臓が脈打つ。


そんな言葉で、今更なんですか。
キミたちとボクは違うんだ。
全然違う。


「赤司君」
「うん?」

「その時、キミ達は待っててくれるんですか」
びしょびしょに濡れたブレザーと一緒に、温もりも離れる。

彼は柔らかな、優しい笑みを浮かべて

「勿論」

それだけ言って、渇いたボクに水を与えた。

半分位、満たされた水。
そうだ、いつか彼らと一緒に泳ごう。


ぬるま湯の中、ボクは未来を見据えた。

 

 

 

 

 

 

「ボクが居なくなったら見つけてくれますか」ってなんとなく聞いてみて皆でそれぞれ「世界の裏側でも見つけるッスよ」「ったりめーだろバカテツ」「探しはするよ~」「まずはぐれないようにするのだよ」「逃げたら、の間違いじゃないの?」って返してくれたんだけど結局見つけられたの赤司様だけだった

っていう妄想からの話でした。
バスケから離れられないのは黒子さん自身がバスケを心底愛してるからだと思いますけど、「あの人たちはまぎれもない天才です」って言ってるキセキの世代を倒すって目標立てたのは他にも理由があってほしいなぁなんて。
緑間君は、理解者に近いけど、この件に関しては自分が言葉をかけても無意味だと思ってればいいです。

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