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正帝←青。で正帝。何だか色々微妙な話……とりあえず正帝な話
それでもよろしければ、どうぞ。


「貴方って本当に愚かですね」
ああ、いらつく。


「帝人」
「正臣?どうしたの?」

ガチャリと自分を迎えてくれたのは幼なじみだ。
昔から、変わらない、幼なじみだ。

「みかど」
「……?だからどうしたの正臣…」
「ちょっと、中入っていいか?」
「いいよ。ほら、寒いから入るなら早く入ってよ」

外に比べれば暖かな帝人の部屋。
相変わらず部屋の中にはパソコンや炊飯器やら、寂しい部屋だなぁなんて帝人の布団に座りながらひっそり思う。
「で、どうしたの?」
首を傾げて言う姿なんて自分の一番古い記憶と変わらない。
「変わんねぇーな」
「え?」
「帝人は変わんないよなぁ、昔から」
「なに?いきなり……」
「……………なぁ、お前変わった?」
「はぁ?今変わんないって言ったばかりじゃないか」
「いやぁ、帝人的には俺というソウルフレンドが居なかった間に何か有ったりしなかったかと心配してんだよ」
「……べつに、変わらないよ」
「………………」
「ねぇ」
「うん?」
「正臣、変じゃない?」
「は?変?俺が?」
帝人が気まずそうな視線を送ってくる。
まさかそんな事を言われると思わなかった。
「だってさ、今までそんな事言わなかったし」
「………」
「正臣から見て僕は変わった?」

じわり。じわり。
胸の奥から何かが滲む。

「帝人は、帝人だよな。」
「うん」
「俺はお前の親友で」
「うん」
「いいんだよな」
「勿論だよ」

真正面から親友という事を肯定されて恥ずかしい感じもあるけれど素直に嬉しいと思った。

「なあ、なら

黒沼青葉は何なんだよ」

帝人の目が見開く。

「新しいオトモダチにしちゃ、何か黒沼のお前に対する態度、違くね?」
「……青葉くんは、」
「先輩先輩先輩先輩って」
「………」
「なんなわけ、あいつ」
臨也さんみたいな目をしていて、正直いけ好かない。

「ただの、後輩だよ」
帝人は俺を見ない。

「帝人」
「………なに」
「俺は頼りないか?」
「そんな事、ない」

帝人は俺を見ない!

「お前は俺が居なくても平気なんだろうけどな!俺はっ………」
「正臣が居なくてもいい訳無い!!!!」
力一杯叫ばれて頭がキィンとした。

「正臣はっ……正臣こそ、僕が居なくても平気なんじゃないか……」
「違…」
「違わないよ!正臣は僕なんかと違って……一人でどこへでも行けるじゃないか……」
「………違う。違う!俺はっお前を傷付けまいと、」
「傷付いたよ!!正臣がどこか遠くに行ったから傷付いたよ!!正臣は別に僕が居なくても大丈夫なんだって、思って……」

目頭がジリジリする。喉の奥も熱を持って、それは多分、目の前の帝人もだ。


「僕は、正臣が居なくても生きれるようにしなきゃって」

ぽろりと帝人の目から滴が零れた。

「…………それで、黒沼が居れば生きれるってか?」
脳裏に浮かぶ少年にじわりと胸にまた何かが滲む。



「紀田先輩って、何にも知らないじゃないですか。

はは、貴方って本当に愚かですね。」



じわり、じわり、じわり

「青葉くんは違う!あの子は必要な時にしか使わない!」
「お前やっぱり変わったよ!!!!」
「っ…」
人に対して使うだの使えないだの、そんな事言う奴では無かった筈だ!

「……………変わってないよ」
「……」
「正臣が、………僕も、知らなかっただけで……何も変わってないよ」
「なんで黒沼なんだよ」
顔があつい。チリチリする。
胸が焼けそうだ。じわじわと痛む。

「俺が戻ったなら、俺が居て、良いじゃねえか!!」
「正臣は何にも知らないからそういう事が言えるんだ!!」
「っ…ああ知らねえよ!言っておくけどな、俺はっ…俺だって、お前が居なきゃ生きてけねーんだからな!」

「……………えっ?」

「……好きなんだ、お前が」

痛い、痛い、痛い!
肺がぎゅうぎゅう握りつぶされているように痛いし、心臓が千切られそうに痛いし、喉がひきつる。

「嘘だ」
「こんな時に…嘘ついてどうすんだよ……」
「好きって、なに」
「…帝人とキスしたいってこと」

なんて気持ち悪い!なぁ、そうだろ?笑えるよなぁ?ナンパしようとかお前を誘ってた俺が、お前の事好きだなんて!気持ち悪いよなぁ!!
お前は杏里が好きなんだもんな!親友としてしか俺を見ていないのに、好きだなんて言われちゃって気持ち悪いよなぁ!!

「正臣は、変わったよ」
「……………変わってねえよ」
「だって、女の子が好きなんでしょう?」
「帝人はもっと好きだ」
「ぼ、くだって」

嗚呼、苦しい。痛くて痛くて呼吸ができねぇ。
本気の恋が男なんてハードル高過ぎだろ。鼻水でてきた。はは、笑える。

「正臣が、一番すきなのに」

「……は?……無理すんなよ」
「無理なんかしてなっ、い。正臣が、好きだよ」
「あはは、だってお前泣いてんじゃん」
「正臣、こそ」

帝人の涙を手で拭って帝人を抱き寄せる。

「………ばか嬉し泣きだ」
「…………僕もだよ」

初めてのキスは塩味だった。

*************
「馬鹿だなぁ紀田先輩は。俺は、あんたの代わりにすらなれない駒なのに」
青葉はベッドの上で目を閉じる。

「帝人先輩……」
所詮自分は帝人に好かれたいが故に、帝人の駒になっていただけなのだ。
その事を利用して、何時も帝人にまとわりついていただけだ。


いつか竜ヶ峰帝人にとっての紀田正臣の位置が自分の物になるようにと。

「ほんと…世界一の馬鹿ですよ。」

***************
前後無いと解んない話ですいません\(^o^)/
あの、正臣にだけ、対等にぶつかれる帝人っていいよねって話でした。
言葉遣いとかね、正臣に対してのみ素なのが凄く好きです。
解りにくい話だと思いますが要は其処が書きたかっただけです。
全力ですれ違いラブが書きたかったんです(笑)


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