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正(→)帝
ヤンデ……レ?
それでもよろしければ、どうぞ。


「正臣」
「ん~?」
「僕は正臣を思ったよりも頼りにしてると思う」
「そうか?」
いつものように帝人と杏里のクラスに行って帝人の席の前に座っていれば帝人は窓の外を見ながらそんな事を言った。

「嫌になるよね…」
「へ?」
苦いものを食べたような顔をする帝人。
「親元を離れて一人でもなんとかなるって思ったけど、正臣から離れたら池袋で生きていけないんだろうなぁ、僕」

ごくり。

思わず唾を飲み込んだ。

帝人が、そんな事を言うだなんて。
ふつふつと歓喜の声が身体中を駆け巡る。

俺の!帝人が!俺から離れて生きていけないかもしれないと言う!
幼なじみよりもずっと深い関係になっているとお前が言うならば俺はお前に捧げられるものは全て捧げよう!

「大袈裟じゃないのか~?帝人は相変わらず心配性なんだからなぁ」

笑いながら言えば帝人が突っ伏す。
「うーん、ならいいんだけど……」
「なぁんだー?帝人は俺が居ないと生きていけないって言うんだったら俺がスウィートハニー連れてきた暁にはどうすんの?
まさか俺を取り合って灼熱のバトルが始まってドロドロバトルストーリー開始?」
俺が居ないと生きていけないとお前が言うのなら。
俺はあえてお前を茶化そうじゃないか。今は。

ちらりと帝人を見れば帝人はぽかんと口を開けていた。


「ああ……そうか、正臣に彼女……なんて考えもしなかった」

その台詞にはどんな意味があるのだろう。

俺に、彼女なんてできないと思っているのだろうか。
いつまでも俺はお前の隣に居ると思っているのだろうか。

嗚呼お前はこの幼なじみが狂気じみた感情を胸に孕んで居ることを知ってるだろうか!

同性と食べる食事が嫌いと言いつつも帝人と食べる食事は格別に美味しいと思う自分が帝人を欲しいと身体中で叫んでいるのをお前は知らないだろう!

嗚呼!嗚呼!幼なじみの仮面は意外にも厚ぼったく距離を上手く取っている!年季の入った仮面はダイヤモンド並みの硬度だ!

けれど幼なじみの立場で言うお前の一言一言に、時には恋人の立場で言うそれに感じてしまう!
好きだ、愛してる!いやそれより深いかもしれない。

………ああ、けれど、


この思いは決して悟られぬようにと仮面を被らずにはいられないのだ。


*************
正帝は正臣がグルグルしてるイメージが今強い。なんだかんだ正臣は自分を責める人だし。
明るいラブラブバカップル正帝も好きですが。

近すぎるからこそ、ぶつかれない。そんな正帝。


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