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無双です。政幸で現代パラ。
夏が来た。
「暑いですね」
じわじわと蝉が鳴き、じっとりと湿った空気がワイシャツに染み込んで重く感じる。そんな錯覚を起こすくらい蒸し暑い日だ。
「ああ、暑いな」
シャツをつまんで扇ぐようにすれば幸村は雲をじっと見つめている。
「あつい」
そんなに何回も言うな馬鹿め。と言おうと口を開いて、閉じた。
「………幸村?」
「えっ、あ、……あんまりにも暑いからかぼうっとしてしまいました…」
ぼうっとしていた?
あの、瞳のどこが。
手のひらにじっとりと汗をかいていることに気付き手を握る。
「幸村、夏が苦手か?」
険しい顔で、空を見ていた。
「いいえ、まぁ…確かに暑すぎる日は得意ではありませんが苦手かと言われると…多分違うと思います。」
「………そうか」
そのあとはゆっくりと歩きながら他愛の無い会話をして二人で帰路を行く。
「ではな幸村。明日お主の家に行くぞ。兼続は絶対に入れるなよ」
「お二人ともそんな険悪にならなくても…分かりました。兼続殿にもそう伝えておきます。」
「助かる。どうもあやつは苦手じゃ」
ではな、あまりぼうっとして熱中症になるなよ。と冗談混じりに言って分かれ道を行こうとすれば政宗殿。と呼び止められる。
「何じゃ」
「私は、怖いのかもしれません」
「?」
「どうしようもなく、疼くのです。心臓よりもずっと深いものが。疼くような気がするのです……」
俯いてそんな事を言う幸村。耳を塞ぐようにぐしゃりと手を顔の横で握っている。
近寄って黒髪を握るその手を掴み離そうとすれば逆に幸村に手を掴まれる。
「この、青い空と、この空気が私を捕らえるような気がするのです」
「幸村、」
「何か、私は忘れているのでしょうか」
私は大事なことを。けれど何も覚えていないのです。夏に、何がと焦点の定まらない、蒼い顔で幸村が早口に言う。
「落ち着け幸村!」
「………すみません、取り乱してしまい」
「いや……良い。」
手を離せばどっと冷や汗が吹き出た。
「やはり今日お前の家に、」
「いえ、大丈夫です。」
にこりと幸村は微笑む。
「政宗殿、ご心配をおかけしてすみません。」
「…………」
「では、政宗殿また明日…」
「待て幸村」
がしりと手を掴むと幸村はきょとんとした。
「怖い、と恐れるなら儂が側に居てやる」
「平気です。」
「お主の平気は信用ならぬ。」
「………」
「お主はいつもそうじゃな。そんなに儂やあいつらは信用ならぬのか?」
あいつらというのは三成や兼続の事だ。幸村は誰に対してもどこか一歩引くのだ。
「そういう訳では…私は…こういう生き方しかできないのです…」
さわさわと風に黒髪が揺れて、「あ。」と思った。「あ。」と思ったのは何故だか分からぬがなにか、思い出したような、そんな「あ。」だった。
「……遠慮は無用じゃ」
馬鹿め。と幸村の腕を引けば小さな声で有り難うございます政宗殿と返ってきた。
なんじゃ、あの、既視感。
*****************
過去を思い出してはいないけれど。な現代パラレルでした(笑)
こんな設定の話をぽつぽつ書こうかな~と思ってます。気ままに……。
また療養生活に逆戻りしたよー\(^o^)/
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