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ぼくらの7日間6の続きです。
臨→高3 幽→高2 帝→高1
です
そしてぼくらは恋人になった。
「いらっしゃいませー!」
「あげたこいかかですかー!?」
明るい学生の声に満ちているこの学校では今日と明日、文化祭だ。
今日は校内のみの入場で、明日は一般入場というスタイルを取り、生徒達は売上や来場者数を競う。
「いらっしゃいませ」
教室に入りきらない程の人が集まる二年のとある教室では作り物のように整った顔の青年がエプロンを着ながら割りばしを割って接客をしていた。
「幽くんはわたあめ作ってくれないの~?」
「ええ、下手くそなので」
「平和島くんエプロンも似合う~」
「どうも」
無表情のまま淡々と紡がれる言葉に女子生徒達は気にする訳もなく興奮気味に幽に話し掛ける。
内心(そろそろ店番交代したい)と思う幽の視界に愛しい幼なじみの姿が映った。
「帝人!」
幽がガタリと椅子から立ち上がりながら声のボリュームを上げて幼なじみの名前を呼ぶ。
「大盛況ですね」
へにゃり。という擬音がぴったりの笑い方で帝人は笑いながら幽に近付く。
「うん、まあ」
そうなのかな。と適当に言う幽に帝人は呆れた。
―どう考えても幽さんがカウンターに座ってるからでしょう。
帝人がわたあめを頼めば幽がエプロンを脱ぎ、級友と何かを話し、帝人の方へ向かってきた。
「抜けて良いって言われたから行こう」
「あ、はい」
代金を払い、帝人は幽と歩き出す。
校内では帝人と幽、静雄と幼なじみの関係に当たるのを知られている為、帝人と幽が一緒に居ても女子生徒からのブーイングは無かった。
「帝人、手」
「へ?」
「繋ぐくらい、良いでしょう?」
もふもふとわたあめに噛じりつく帝人に幽が手を差し出す。
「………歩きにくいですよ」
ふい、とそっぽを向く帝人は大して嫌がって居ないようで、幽が手を繋いでも振りほどかれる事は無かった。
幽と帝人。二人が幼なじみなのは周知の関係であるが、この二人が恋人等と言う甘い関係なのを知るのは誰も居ないだろう。
………普通なら、誰も知らない筈なのだ。
「ううわっ信じられない!嘘だと言ってよ帝人くん!俺の気を引く為の演技なんでしょ!?」
ばったりと廊下で会ったのは幽の兄と犬猿の仲である折原臨也だ。
「…………なんの話ですか」
面倒くさそうな顔をして臨也を見たのは帝人である。
「帝人くん……平和島幽くんの事が好きなんて嘘だよね……?」
「………………」
わざとらしく大きな身振りで言う臨也にどっちが演技なんだか。と帝人はため息をつき、幽はそんな帝人と臨也を交互に見る。
「臨也さんまだ盗聴機着けてたんですか?」
「そりゃあ愛しの帝人くんに何かが有ったら大変だからね!」
「そろそろ訴えますよ」
「照れ屋さんだねぇ帝人くんは!」
「折原さん」
「ん?なんだい平和島幽くん。俺は正直君と会話なんてしなくてもいいんだけど仕方ないから聞いてあげるよ、なんだい?」
「俺と帝人はこれから食べ歩きに行くので失礼します」
そう言うなり幽は帝人の手を引っ張り臨也を避けて歩き出す。
「それと、帝人は予約済みなので諦めてください。それでは」
「なっ!幽さんっ!」
「…………言ってくれるねぇ…」
臨也は顔を歪めて二人とは逆方向へ歩き出した。
「何ですか今の言い方!」
「牽制」
「牽制って臨也さんにしてどうするんですか…」
「折原さんだからしたんだよ」
本当に帝人は鈍いな…と幽はいっそ感心しそうだった。
「おー帝人ー!幽せんぱーい!寄ってかな~い?」
看板を掲げた正臣が手を振り、チラシを持った杏里がぺこりとお辞儀をする。
「どうする?」
「後でにしましょう。」
「そう?」
「どうせなら、静雄さんも一緒の方が良いです。」
甘いものが好きな兄を脳裏に浮かべてなるほど。と呟けば帝人は後で行くーと正臣と杏里に向かって手を振った。
元気よく返事をする正臣の隣で杏里は手を繋いでいる幽と帝人を見て、ひっそりと微笑んだ。
ずび。と水音がして杏里が正臣を見れば正臣は冷えてきたな。と杏里を見ずに俯きながら言った。
「あついね」
「そうですね」
二人でフライドポテトを食べながら歩く。たまに幽へ送られる視線を感じつつも文化祭特有の熱気が立ちこめる、出店が並んでいる所を二人は歩く。
「まだ秋になったばかりですからね」
「うん」
ざくざくとフライドポテトをかじりつつ帝人は幽を見る。
「……………本当は、意外です」
「なにが?」
「その…えぇと……恋人になったら…いきなり何かが変わるのかと思ってまして……」
「ああ、うん、恋人になったばかりだしね」
「ふふっなんですかそれ」
先ほどの自分の言葉を真似た幽の言葉に帝人はくすくすと笑う。
「これからゆっくり変わっていくよ。我慢しなくてもいい関係になったのだから」
「我慢……してたんですか?」
相変わらず酷な事を言う子だと幽は思った。
「ずっと好きだったから、沢山我慢してたよ」
だから少し意地悪な返事をしてしまった。
けれど、本当の事だ。
昨日の帝人の返事でもしも帝人が「僕も幽さんが好きでした」だったらお互いに良い雰囲気になってキス位はできた筈なのだ。
けれど帝人の返事は「好きみたいです」等と幽にとってひどく曖昧な答えだった。
帝人は解っていないだろうが、幽は結構落ち込んだのだ。
「すみません……その、気付かなくて」
「いいよ、気にしな」
「でも、もう我慢しなくていいですよ」
「く、て……………」
思わず歩みが止まってしまい、帝人を見れば帝人も立ち止まり、俯く。
「いや、その……あの」
「…ありがとう」
真っ赤になっている帝人を見て幽の胸は愛しさで一杯になった。
「もう少ししてから兄貴の所に行こうか」
「…ですね」
真っ赤になった顔をひたすら下に向ける帝人に幽は、この可愛らしい恋人は自分の恋人なのだと叫び出したかった。
************
「あーもうちょう可愛い!自分で言って恥ずかしがっちゃって可愛い!抱き締めたいキスしたい!」みたいな心境です、ラストの幽(笑)
帝人は恋愛感情が幼なじみに対しての友愛といいますか、そんなのに綺麗に覆われてしまっていた。という感じです。
無意識に幽がすきだった。で段々恋愛感情が見えてきた。
そんな感じの「ぼくらの7日間」でした。
帝人総………受け?みたいな話ですみません…人数入れるの苦手なのがモロバレですね……。
では、ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
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