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ぼくらの7日間5つづきです。宜しければどうぞ。
「ずっと好きでした。付き合ってください」
掃除の時間、僕は昇降口前を掃除することになっていた。
そんな訳で校舎を歩き、昇降口へ向かっていると人気の無い裏庭に人影がふたつ。
次いで聞こえたのが冒頭の言葉だ。
ふたつの人影のうちひとつは女子で、もうひとつは幽さんだった。
幽さんはやっぱり人気なんだなぁ。僕なんて告白されたすら事ないよ…。
それで立ち去れば良かったのに僕はつい足を止めてしまった。
「ごめんね。俺、好きな人がいるんだ」
足を止めなければこの言葉も聞くことなかったのに。
「っ………」
顔があつい。
慌てて走り出す。廊下は走るな。とか知ったこっちゃない。
熱い。だけど走ると冬に近づきつつある風が冷たく、気持ち良かった。
変なの、告白された時はこんなに顔熱くなかったのに。
ああやって幽さんはいつも断るんだろうか?知らなかった。
昇降口に着けば正臣が先に居た。
「やぁっときたなー?お?なんだよお前そんな急いで来たのか~?顔真っ赤だぞ?まるで禁断の果実みたいに!」
「はぁっ…はぁっ………ちょっと、ね」
早く掃除を終わらせようと箒を持てば正臣は更に続ける。
「なぁところで今日お前んち行っていい?」
「駄目!今日は絶対駄目!」
「………なんかあんの?明日は学園フェスティバルだけどお前んちもフェスティバルなわけ?」
「今日幽さんと居る約束だから!」
「……………」
そう、今日は告白の返事をする日なのだ。正臣なんかに構っていられない。
断り方がまずかったんだろうか、正臣の顔が歪む。
あれ?もしかして…正臣こそ今日なんかあったの?
と思ったら正臣が盛大にため息をつく。
「はぁぁ~お前って本当、幽先輩好きだよなぁ……」
「えっ!?」
なにいきなり!?声がひっくり返っちゃったじゃないか。
「何回「幽さんが~」で断られた事か………」
「えぇっ!?そうだった?」
「………まぁ幼なじみだったっけ?なら仕方ないかな~帝人がベッタリなのも」
「…べ……ベッタリ?」
「明日は幽さんと遊ぶだの昨日幽さんと遊んだだの……ファザー自慢する息子かお前は!って位はベッタリじゃん」
「……………そうかな…」
ていうか、僕そんな事言ってたっけ?あれ?言ってたっけ?
なんかそれは…………恥ずかしくなってきた……。
「だ、だってさ、幽さんと静雄さんとはずっと一緒にいたから……」
「本当の兄弟みたいってか?」
「う…うん」
「じゃあそんなブラコンな帝人は明日は幽兄さんと静雄兄さんと文化祭をエンジョイしちゃうのかな~?」
「うーん、ど、どうだろうね…」
「おっ?なら俺と回る?俺とガールズハンティングしたりしてフェスティバルをトゥゲザーしちゃったりする?」
そう言われると……
真剣に悩んでしまう。
正臣と一日中一緒に居るのは楽しいかもしれない。疲れるかもしれないけど。
一人で回るのは嫌だ。
けれど、幽さんと一緒に回るとしたら、どうだろう。
正臣より会話は減るし、冗談もあまり言わない幽さんと一日中一緒。
けどあの人は凄く優しいのだ。
気遣いは正臣より細やかなもので。
……何より、幽さんと一緒に居ると落ち着くのだ。
「なーに黙り込んでんだよ」
「あ、」
パチリと瞬きをして視線を上にずらせば正臣の顔のドアップ。
「別に……明日どうしようかなって考えてただけだよ。ほら、手動かしなよ。」
あと顔近い。と言いつつ箒を動かせば正臣は不満そうに唇を尖らせて手を動かした。
「ふう……」
がチャリと自室に入る。結局正臣とは明日回らない事にした。
幽さんへの返事は微妙だけど、幽さんに肯定の意を伝えても伝えなくても結局静雄さんと三人で行動しそうだし。
「おかえり」
そんな事を考えていれば涼やかな声が聞こえてどきりと心臓が跳ねた。
「かっ、幽さん…」
自分のベッドに転がる幽を見て頭の中でちょっとタンマ!と叫ぶ。
「た………ただいまです」
「うん」
うわ、ちょっと本当、待って!まだ心の準備が……
いや、まああれから5日経ってる訳だし……うぅ……どうしよう…
どんどん下向きになる視線を戻せば幽さんは僕を真っ直ぐ見つめていた。
うーん…いたたまれない。
どうしよう、なんて言おう。
幽さんの事は確かに好きだけど「君の好きは俺と違う」とかベタな事言われたらどうしよう。いや、ベタなのかは知らないけど。
ああまた顔熱くなってきた……!!
「ねぇ」
「はっ、はい!?」
「座らないの?」
「えっ?」
この状況で、座れと!?
催促なんだろうか。催促なんだろうなぁ。
…昨日の今日だし。
「じゃ、あ…失礼します」
「帝人の部屋じゃない」
「……そうですけど…」
いやだってそう構えたくなるじゃないですか。
「ねぇ」
「はい?」
ってちょっ、顔近っ!
「なっ、なんですか」
幽さんの完璧な顔が間近にあって思わず体を反らす。
「返事はいつくれる?俺心臓破裂しそうなんだけど」
無表情のまま言った幽さんの髪がさらりと揺れ、瞳に自分が映っているのが見えて心臓が跳ねる。
こっちは心臓が爆発しそうですよ!
……………あれ?
何か、変だ。
僕ってこんな……顔のドアップでいちいちドキドキしてたっけ。
正臣や静雄さんでドアップなんて見慣れてるじゃないか。風邪かな。
いやでも毎回幽さんのドアップは………………心臓に悪いなと思って…
「あの」
「うん」
「顔近いです……」
「あ、ごめん」
キスができそう。とか、正臣や静雄さんだと思わないのに。(今日の掃除の時間然り)
えっとそれってつまり…………嘘でしょ?
「か、すかさん」
「うん」
だって相手は兄のように慕っている人だし。恋だとか、そういう関係になりたいとか、今まで一度も思った事無いし。
けれども、幽さんと付き合ったらという考えに行ってしまったりするのはきっと、
「僕も……幽さんが好き、みたいです」
そういうことなのだろう。
******************
正臣二回目(笑)話を進めるのについ入れちゃう正臣。
正→帝でした。でも告白できない正臣。帝人の幽さん話で諦めモードなんだと。
総受け~な話になって無い……気がしますがすみません次で終わりです。
ていうかこれ……長い。
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